高校生につなぐ戦争証言(地平社ブックレット〈7〉)
高校生平和のつどい実行委員会(編)
2026年8月発売
「私たちは、戦争を経験した方々の『生の声』を直接聞ける最後の世代」
戦後80年を機に、高校生たちが戦争体験者などの証言を聞き、戦争と平和について学び合った。次世代に伝える証言と対話の記録。
はじめに――平和について考えつづけ、語り継いでいきたい
高校生平和のつどい実行委員長 新井結愛(高校2年)
私たちは、2025年11月23日、戦後80年という節目の年に東京で「高校生平和のつどい」を開催しました。このつどいは、高校生が主体となって戦争や平和について学び、考え、語り合う場として企画・運営したものです。
私は実行委員長として準備から当日まで関わり、貴重な経験をしました。実行委員として集まってくれた仲間にたくさん助けられ、仲間の大切さに気づくことができました。それと同時に人を集めることの難しさにも直面しました。学校の友だちを誘ってもなかなか良い反応が得られず、自分と周りの平和意識のギャップをあらためて感じることもありました。それでも中・高校生や大人合わせて300人を超える参加者を集めることができました。
当日は、全体会で被爆者の児玉三智子さんのお話をうかがいました。その後、東京大空襲、沖縄戦、中国や東南アジアへの侵略、朝鮮人強制連行・強制労働、日本軍「慰安婦」、満蒙開拓団、中国残留孤児、治安維持法による弾圧と抵抗、シベリア抑留の10のテーマに分かれて、体験者や関係者からお話を聞きました。
私たち高校生は、戦争を経験した方々の「生の声」を直接聞くことのできる最後の世代だといわれています。実際にお話をうかがうなかで、教科書や映像だけでは感じ取れない、当時の痛みや苦しさ、そして過酷な時代を生き抜いてきた力強さが、言葉として胸に迫ってきました。何度聞いても慣れることのない戦争体験の話に、戦争や核兵器は決してあってはならないものだと、あらためて強く感じました。
講演や証言を聞いた後、高校生同士で感想を共有し、意見を交わす時間も設けられました。そこでは、同じ話を聞いていても感じ方や受けとめ方が人それぞれであることを知り、自分とは異なる考えにふれる大切さを学びました。「正解」を探すのではなく、それぞれが何を感じ、これからどう向き合っていきたいのかを言葉にすること自体に意味があるのだと感じました。
私はこれまでの高校生平和ゼミナールの活動で、平和の大切さを社会にどう伝えていくのか、政治的な側面も含むデリケートなテーマにどう向き合うのかという葛藤も抱えてきました。今回のつどいを通して、語り部の方々の声を受け取り、それを自分なりの言葉で周囲と共有することが「語り継ぐ」ことの第一歩なのだと気づきました。
現在、世界ではロシアとウクライナの戦争、ガザ地区をめぐる対立、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃、「台湾有事」への懸念など、不安定な状況が続いています。戦争は決して過去の出来事ではなく、この瞬間も世界のどこかで起きている現実です。過去の戦争の記憶が薄れていく今、私たち若い世代が立ち止まり、考え、対話を重ねていくことの意味はますます大きくなっています。「高校生平和のつどい」での学びを一過性のものにせず、これからも自分にできる形で、平和について考えつづけ、語り継いでいきたいと思っています。
このブックレットは、私たちが「高校生平和のつどい」でお聞きした戦争体験者などの証言をまとめたものです。多くの中学生や高校生、若者に読んでいただけると嬉しいです。
編者
高校生平和のつどい実行委員会
2025年6月、戦後・被爆80年にあたって、戦争体験者の証言を聞き受け継ごうと、都内の高校生が実行委員会を結成。同年11月に「今こそ戦争体験を知ろう!一緒に語り合おう~高校生平和のつどい」を開催。

高校生につなぐ戦争証言(地平社ブックレット〈7〉)
2026年8月発売
A5判並製、80ページ、1100円(税込)
書籍 978-4-86863-007-4

