著:ハミッド ダバシ/(早尾 貴紀 訳)
2025年6月3日発売
〈10.7〉以後、私たちは共犯者となった
パレスチナ虐殺を目の当たりにしながら、私たちは何もできないままなのか――。故エドワード・サイードの同志で思想的継承者のハミッド・ダバシが見出した新たな「抵抗」の可能性。世界は植民地主義に加担し、「占領」「統治」「戦争」などといった概念は転倒する。ヨーロッパ中心主義的な「理性」を徹底的に批判した論説集。
もくじ
訳者まえがき(早尾貴紀)
日本の読者へ
1 欧米はいかにイスラエルを「再発明」しているのか
2 イスラエルのプロパガンダ主要10点を論駁する
3 「川から海まで」のスローガンを取り戻す
4 米国の大学キャンパスにおけるパレスチナ支援活動を弾圧するシオニストの努力が無駄に終わる理由
5 イスラエルの対ガザ戦争にはヨーロッパ植民地主義の歴史全体が含まれている
6 ガザのおかげでヨーロッパ哲学の倫理的破綻が露呈した
7 対ガザ戦争は、パレスチナ解放神学と福音派シオニズムの対立を浮き彫りにする
8 評論家たちはいかにフランツ・ファノンの遺産を歪曲しているか
9 ヘーゲルの人種差別的哲学がヨーロッパのシオニズムに与えた影響
10 米国大統領選:バイデンとトランプは殺人コインの表裏である
11 フランチェスカ・アルバネーゼを恐れるのは誰か?
12 イランの反撃はイスラエルに警告を与えたが、焦点は依然としてガザにあるべき
13 欧米はパレスチナの教育に対するイスラエルの攻撃に直接責任がある
14 米国大学キャンパスにおける抗議運動――エドワード・サイードは、この瞬間を大切にしたことだろう
15 ヒラリー・クリントンは大学キャンパスの抗議という潮の変わり目がもつ倫理的な力を理解できない
16 ガザでのジェノサイドは国外イラン人の反体制派の終焉をいかに決定づけたか
17 老化したバイデンとリベラル帝国主義の危機
18 ドナルド・トランプ暗殺未遂はアップルパイ並にアメリカ的だ
19 バイデンと同じくカマラ・ハリスはイスラエルの大量虐殺に全面賛同している
20 コリー・ブッシュが人種差別と植民地主義の勢力に立ち向かった
21 ハイファの隠された歴史が、静かで美しいパレスチナ映画のなかに姿を現す
22 なぜイランはイスラエルに報復してこなかったのか?
23 タナハシ・コーツはいかにしてリベラル・シオニズムから脱却したか
24 米国大統領選挙で、なぜ有権者はファシズムと大量虐殺的シオニズムのどちらかを選ばなければならないのか?
25 ニューヨーク・タイムズ紙は、反ユダヤ主義を報じても、ジェノサイドには触れない
26 ジミー・カーター、歴史の流れを変えたピーナッツ農家
27 ガザ・ジェノサイドの余興――テルアビブで『ロリータ』を観る
28 仮面は外され、そしてトランプとイスラエルは地球を不動産に変えた
29 イスラエルとアメリカの蛮行が歴史の負け組にあることを示す四冊の本
30 マフサ・アミーニーの抗議はイラン政権と反対派、双方の失敗を露呈した
31 トランプが異常なわけではなく、外国人嫌悪はアップルパイ並みにアメリカ的なのだ
訳者あとがき(早尾貴紀)
ハミッド・ダバシ
米国コロンビア大学教授。専門は中東研究・比較文学。「イランのサイード」と称される。1951年、イラン南西部アフヴァーズ(イラク隣接州の州都)生まれ。76年、米国ペンシルヴェニア大学に留学、博士号を取得(文化社会学とイスラム学)し、89年より現職。
早尾貴紀 (訳)
はやお・たかのり 東京経済大学教授。パレスチナ/イスラエル研究、社会思想史研究。ヘブライ大学客員研究員(2002-2004)。共訳に、ハミッド・ダバシ『ポスト・オリエンタリズム』(作品社)。
イスラエル=アメリカの新植民地主義――ガザ〈10.7〉以後の世界
2025年6月3日発売
四六判上製、 304ページ、2500円(税別)
書籍 978-4-911256-22-0