統治される大学

知の囲い込みと民主主義の解体

続けざまに強行採決された国際卓越研究大学法案と国立大学法人法案をはじめ、新自由主義的な大学政策によって、政財界が大学を統治する仕組みが整いつつある。学問の自由と大学自治を破壊する「改革」に抗いつづけてきた研究者のレポート。


もくじ

第I部 囲い込まれる〈有用の知〉——日本学術会議法・国立大学法人法・国際卓越研究⼤学法
第1章 「研究動員」の始まり——日本学術会議問題と京大滝川事件
第2章 私物化される大学——国立大学法人法改正(2021年)のゆくえ
第3章 民主主義の解体/大学の解体——国際卓越研究大学法を貫く統治理性
第4章 産学官連携の同時代史——「イノベーション・エコシステム」という牢獄
第5章 ガバナンス崩壊への道のり——国立大学法人法改正(2023年)の隘路

第II部 根腐れする大学——京都大学における内部観測
第1章 京都大学でいま、何が起こっているのか——藤原辰史さんとの対談
第2章 新自由主義に侵食される大学——吉田寮問題をめぐる公開書簡
第3章 労働の現場としての大学——京都大学職員組合の活動から考える
第4章 京都大学の「植民地主義」を問う——琉球民族遺骨返還訴訟に寄せて
第5章 「自由の風」が止むとき——京都大学総長選(2020年)の顛末
第6章 大学ファンドに色めき立つ大学——「効率化」が切り捨てるもの

補遺 大学「喪失」の時代における学問——藤田省三『精神史的考察』に寄せて


著者について

駒込 武(こまごめ・たけし)
1962年、東京生まれ。京都大学大学院教育学研究科教授。専門は、教育史、台湾近現代史。単著に『植民地帝国日本の文化統合』(岩波書店、1996年)、『世界史のなかの台湾植民地支配』(岩波書店、2015年)。編著に『生活綴方で編む「戦後史」』(岩波書店、2020年)、『「私物化」される国公立大学』(岩波書店、2021年)、訳書に『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』(呉叡人著、みすず書房、2021年)など。


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統治される大学——知の囲い込みと民主主義の解体
2024年10月4日発売
四六判並製、280ページ、2000円(税別)
書籍 ISBN 9784911256121 


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